分かりにくい“こだわり”です。
普段はスルーしてしまうような「シャコ止め」の話です。
今度お手入れされる時にじっくりと観察してください。
最後のひと手間が非常に難しく、面倒です。(はっきり面倒と言ってしまいます)
靴の甲部分の紐穴の間にある小さいヒモみたいに見える箇所があると思います。
約1センチぐらいです。これを「シャコ止め」といいます。主な本来の役目は、負荷が掛かり裂けるのを防ぐ補強のためです。
中々小さくて気がついてもらえないですが、こだわりのポイントです。
また、製品ラインナップのシリーズ内でもグレードにより、このシャコ止めに違いがあります。
大まかな分類としては、36,000円以上の商品ですと“本シャコ止め”と呼ばれる絹糸を使い、12回ほど絡げて編み上げます。(写真のタイプです)
その編み上げた形が、海にいる蝦蛄(シャコ)に形が似ていることから、そのように言われています。確かに似ていると思いますが、毛虫のようにも見えます。通常(弊社基準)のシャコ止めより手間の時間ですが5倍ぐらいは掛かります。もうひとつの、通常のシャコ止めの上げ方ですが、やはり糸を横に3回ほど通してまとめる方法です。他にも、いくつかの方法があり、小さな半円の革をつけたり、ただ横に一の字に糸止めしていたりします。
驚くのは、本シャコ止めの形に糸で先に作られている物があり、中に糸を通すだけになっていて実際に通すだけだそうです。出来ている物があるとは思いませんでした。
補強のためなので決まりとかは特別無く、各メーカーさんの考え方ひとつですね。個性が見えるところでもあります。
今度、靴を見るときにこんなところから見てみるのも楽しいかと思います。