こんにちは。スコッチグレイン大阪店です。
最近はファッション雑誌でも「鏡面仕上げ」、「ハイシャイン」などの
お手入れ方法が特集されており、少しマニアックな趣味のイメージがあった
靴磨きも身だしなみの一部として一般化してきたのではないかと感じております。
店頭にご来店いただくお客様やメールでのお問い合わせでも
ご質問いただく機会が以前にも増して多くなっております。
そこで今回はスコッチグレインオリジナルのお手入れ方法
「モルトドレッシング」について改めてご説明させていただきたいと思います。
モルトドレッシングは主にインペリアルシリーズやオデッサシリーズなどの
輸入革を使用したレギュラー商品に施す仕上げとなっておりますが
今回は国産革を使用した「アシュランス 3536」を使用して解説いたします。
【品番】3536
【価格】30,000円(税込:32,400円)
【カラー】ブラック(BL) ※その他にブラウン(BR)
【サイズ】23.5cm~27.0cm
【ウィズ】3E
(同一木型:インペリアルII 936、インペリアルIII、シャインオアレインIII)
【デザイン】内羽根パンチドキャップトゥ
【甲革】国産カーフ
【底材】ノンスリップレザーソール
【付属品】シューズキーパー
今回はモルトドレッシング仕上げ前、仕上げ後の違いをご覧いただく為に
左足(画像右側)のみを磨き上げていきます。
まず甲革と同系色の「ブートブラック シューポリッシュ」などの
油性クリームを爪先、踵に薄く塗り広げてください。
お客様から油性クリームの色について「無色(ニュートラル)」で黒色、茶色など
全ての色目に対応することはできないのかとご質問いただきます。
無色(ニュートラル)の油性クリームは甲革の色目を問わずご使用いただけますが
モルトドレッシングなどの油性クリームを塗り重ねて行う仕上げの場合、
油性クリームの主成分である「ロウ」が革表面の凹凸に詰まり、
白く濁った仕上がりになる場合がございますのでスコッチグレインで
取扱っております油性クリームで対応できないような特殊な色目を除き
乳化性クリームと同様に油性クリームも甲革の色目に合ったものを
お使いいただくようお勧めしております。
ここから布にウイスキーを湿らせ、油性クリームを取っていただき
モルトドレッシングの本番に入っていくのですが注意していただきたいのが
ウイスキーも油性クリームも僅かな量で十分ということです。
甲革に鏡のような光沢を出すには革表面の凹凸を油性クリームで
少しずつ埋めて凹凸のない平らな状態にする必要があります。
一度に大量の油性クリームを甲革に塗っても凹凸は綺麗に埋まりませので
少しずつ油性クリームを塗り重ねるように意識してください。
このとき指先には力を加えず甲革の表面を優しく撫でるように
油性クリームを塗ってください。
革の凹凸を埋めようと擦り付けるように油性クリームを塗ると
革と布の間に生じる摩擦で革の表面「銀面」を傷めてしまい
艶が出なくなってしまう恐れがございます。
またウイスキーの量が多い場合は画像のように甲革の表面に水滴が残ります。
この場合も油性クリームの塗り重ねが難しくなり、
ウイスキーの水分で甲革がふやけてしまったり、
最悪の場合、染みや甲革を傷めてしまう原因になります。
スコッチグレインがウイスキーを使う理由として油性クリームが
ウイスキーによって柔らかく解れて伸びが良くなり
薄く塗り重ねる作業が容易になるからです。
また「水」を使用しても同様の効果を得ることができますが
アルコール度数の高いウイスキーは揮発性が高く
塗り重ねた油性クリームの中に含まれている水分が早く抜けて
油性クリームの固まりが早くなり効率よく磨くことができるからです。
そして根気強く油性クリームを塗り重ねると少しずつ
甲革の表面に光沢が生まれてきます。
この光沢が出るようになれば後はお好みの艶感になるまで
塗り重ねの作業を繰り返すだけとなります。
このときも一ヶ所を集中して磨き上げるのではなく
左足の爪先、踵、右足の爪先、踵という具合に磨く場所を変えながら
少しずつ塗り重ねると油性クリームの固まりを旨く利用することができます。
更に磨き続けると…
この状態で作業を終了しても十分な光沢ですが今回は更に磨き上げます。
そして…
こちらが完成した状態となります。
左右で見比べると違いがよく分かります。
モルトドレッシング前(画像左)、モルトドレッシング後(画像右)。
別の角度からもう一枚
店内照明の反射具合に惚れ惚れします。
説明文と画像だけでは分かりづらいというお客様は下記の動画をご覧ください。
以上が「モルトドレッシング」のご説明となります。
ご興味をお持ちいただけた方は是非一度挑戦してみてください。
スコッチグレイン各店舗でもショップスタッフがモルトドレッシングを
行っておりますのでお見かけの際にはお気兼ねなくお声をお掛けください。
お時間の許す限りご説明させていただきます。
※基礎的なお手入れ方法についてもブログでご紹介しておりますのでご覧ください。
~ 靴のお手入れ方法について ~